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Homemade People 特別編:TREEHEADSスタッフ・恩田凜太郎さん卒業前インタビュー

By 2025年3月12日No Comments

Homemade Villageのある北杜市も寒い冬が少しずつ終わりに近づき、新芽が動き出す季節になってきました。

そんな3月、TREEHEADSで2年間働いた恩田凜太郎さんが、卒業することになりました。若々しい風を吹かせてくれていた彼が卒業するのは寂しいですが、次のステップを応援したい!ということで、今月は凜太郎くんのインタビューをお届けします。

森野:どうもどうも、りんたろうくん。卒業さびしいですけど…なんと次は京都に行くんですって!?

恩田:そうなんです。宮大工の親方のところで働きます。

森野:わ~、それはすごい。設計から大工の世界へ、ですね。何がきっかけで、次のステップを考えたんですか?

恩田:TREEHEADSで設計をやらせてもらいながら、土日は自分でカレー屋さん「サーカス」の裏に小屋をつくっていたんです。その作業のなかで、自分がつくりたいものを形にしたいと思ったら、技術が必要なんだって気がついて。それで、自分のなかでおもしろい方向ってなんだろう、オリジナリティのある道ってなんだろうと考えて、宮大工の親方のところに決めました。

凛太郎くんが製作した小屋

凛太郎くんが製作した小屋

森野:なるほど~。北杜にいながら京都の親方を見つけたんですよね、どうやって探したんですか?

恩田:Facebookです。ちょうど、人を探しているっていう投稿を親方がしていて、たまたま見つけました。春から3年間修行して、4年目に伊勢神宮の橋をつくり、5年目から式年遷宮に参加する予定なんです。9年後には卒業が決まっていて、それから先は独立するという約束になってます笑。

森野:おおお。式年遷宮に参加できるなんて、貴重な機会ですね。

恩田:そうなんですよね。親方は海外でワークショップをする仕事もあって、式典遷宮で仕事をしてくれる人を探しているようでした。

森野:海外でも!幅広く活躍している方なんですね。

恩田:宮大工の技術をもっていながらもそこに固執はしていなくて、”いま”いいと思っているからやっているという感覚だって言っていました。凝り固まっていなくて、おもしろそうな人だなと思いましたね。

森野:なかなかおもしろそうな方を見つけましたね~。ちなみに、TREEHEADSでの2年間はどうでしたか?

恩田:そうですね、やっと慣れてきたって感じです。竹内さんのデザインに対する考え方だったり、設計や施工の基本のところだったりがわかってきて、設計にも自分の意思が出せるようになってきたと思います。

今、TREEHEADSの工場でつくっているタイニーハウスは、自分が設計したものなんです。

凛太郎くんが設計に携わったタイニーハウス

森野:おお、もうすぐ完成するタイニーハウスですね。
そもそも、凛太朗くんは大学を卒業してすぐにTREEHEADSにジョインしたと思うのだけれど、どうしてここで働きたいと思ったんですか?

恩田:Instagramで見つけたんです笑。

森野:すごいね笑。武蔵野美術大学でしたよね、何を専攻してたんですか?

恩田:建築学科でした。でも、もともと建築がやりたかったわけではなくて、建築学科に行けば、ものづくりに必要な技術がいろいろと学べると思ったから選んだんです。

森野:そうなんだ、もともとはどんなものをつくるのが好きだったんですか?

恩田:絵をかいたり、財布をつくったり、指輪をつくったり…笑。在学中もそういうことをしてましたね。

建築学科に入ってから、建築を好きになりました。土地だったり周りの環境という”制限”のなかでいかにいい設計をするのかを考えるのが好きで、ゲーム感覚になっていましたね。

でも、学校のなかではその図面で評価されるので「勝たなきゃ」みたいな気持ちも生まれてきて、自分のことしか考えていないような設計図になっているような気がして、だんだんとよくわからなくなっていきました。

森野:なるほど。

恩田:ふと、そんな建築には責任がもてないって、思ったんです。

千葉の柏出身なんですが、自分が小さいころにはあった緑も、だんだんと壊されてなくなって。それを見て「そんなに建物いる?」って疑問を持ちました。
だから、TREEHEADSでは建物ではなく動かせる”トレーラー”をつくっているというところが、いいなと思ったんです。

森野:都心を中心に、少し離れたところでもどんどん大きなマンションが建ってますもんね。

恩田:それまで「建築をやらなきゃいけない」って思って頑張っていたんですが、建築をやめたくなりました。それで2020年に休学をして、見つめ直したんです。

千葉・鴨川の苗目というハーブ農家さんに行ったり、水曜には林業をしたりして、自然のあるところに身を置いて。
いま振り返ってみると、あのとき立ち止まってみてよかったなと思います。

森野:夢中で設計をしていたところから立ち止まるのはなかなか勇気のいることだけれど、それが今の凜太郎くんにつながっているんですね。

恩田:はい。その後TREEHEADSには、大学4年の5月に初めて来て、その日にもう働く話になってました笑。

森野:はや!笑

恩田:竹内さんの考え方や、つくっているものもそうですし、北杜の環境もいいなと思ったんです。あと、TREEHEADSは設計をしているすぐ横に工場があるので、つくっている様子も見ることができるし、たまに圭史さんの作業も手伝わせてもらって、体を動かせるのもいいなと思ってます。ずっと外で作業してたいと思うくらいです笑。

森野:ちょっと意外!笑。でもやっぱり、ものをつくる、手を動かすのが好きなんですね。

恩田:好きですね。TREEHEADSは甲斐の匠・小田切さんのチームとも仕事をさせてもらう機会も多くて、かっこいいなと思って見ていました。「こういうのをつくりたい」って言うのは簡単ですけど、実際につくれるプロはすごいです。

森野:ほんとに、かっこいいですよね。小田切さんチームを見ていると、私ですら大工さんに憧れます。

凜太郎くんは、2023年のタイニーハウスワークショップにもスタッフとして参加されてましたね。設計図をつくったりもしてくれていたと思うのですが、参加してみてどうでしたか?

恩田:ワークショップはTREEHEADSに入って最初に参加したプロジェクトでした。図面を書いただけじゃなくて、参加者の皆さんと一緒に作業させてもらえたのがよかったです。作り手がどんなことを考えて作業するのかを体験できたことが、その後のプロジェクトにも活かせたかなと思います。

森野:楽しかったですよね、ワークショップ。私の参加させてもらって、つくることの楽しさを感じた1年でした。

恩田:参加者の皆さんもビルダーの皆さんも楽しい方ばかりで。みんなで作業して、ご飯食べて、夜中まで人生相談に乗ってくれたりして。夜更かしして翌朝竹内さんに叱られましたけど笑

設計としてTREEHEADSに参加したのですが、実際に手を動かしてものをつくりあげる楽しさと難しさを感じられたワークショップでの経験は、今回の次のステップに進む決断にも影響していると思います。

森野:次の親方のところでの9年間のあとは、何か考えていることはあるんですか?

恩田:この9年間で、いろいろやりたいことがでてくるかなとは思ってます。でも、北杜のように環境のいいところで、工場をもってものづくりをしたいという気持ちはあります。オーダーを受けてつくるというよりは、自分のつくりたいものをつくりたいです。

森野:うんうん、凛太朗くんのものづくり、とっても楽しみです。じゃあ最後に、凛太朗くんがタイニーハウスに住むなら、どんなタイニーハウスに住みたいですか?

恩田:Homemade Villageにあるものでいうと、Type-Cがスタイリッシュで好きなんです。

もともと素材でいうと金属が好きだったんですけど、TREEHEADSで木材に触れるなかで、木ってあたたかみがあっていいなと思うようになりました。
タイニーハウスで住むなら、長野の伊那とか、ここよりももっと田舎のほうに住みたいな~と思いますね。

森野:ありがとうございます。凛太朗くんらしく、すてきに成長していく姿をほんとうに楽しみにしています。またいつでも、Homemade Villageにも遊びに来てください!