Homemade Villageをつくるきっかけにもなったロードムービー「simplife」の上映会を開催します。
実は今からちょうど10年前、2015年4月13日、僕は3人の仲間とシアトルの空港にいた。タイニーハウス・ムーブメントの震源地であったアメリカの西海岸を縦断し、本物のタイニーハウスとそこに住む人に出会うために。
このロードムービーをつくるきっかけは、ある街でふらっと入ったゲストハウスでのこと。そこで出会った青年たちと仲良くなり宴会が始まると、「タイニーハウス、知ってますよ。僕らも近々つくろうと思ってたんです!」と彼らが胸の内を話してくれて内心ワクワクした。「合板で箱を作って、下にキャスターをつければ安くつくれるし、怒られれば移動もできる。税金も要らない。誰でもコスパ良く住めるでしょ。」なるほど、でも自分の思い描いていたものと何か違うような気がする。そそくさとその場を離れ、ドミトリの2段ベッドに潜り込んだ。
翌日、映像作家の友人に電話をかけた。「本物のタイニーハウスを見たい。そこに住む人の生活が知りたい。どんな想いを持ってタイニーハウスを選択したのか、世間ではどのように認知されているのか。そんな映画がつくれないかな?」
クラウドファンディングで資金を集め、半年後に僕らはシアトルの空港にいた。古い友人は自分で飛行機の予約をしてそこにいた。また、大船渡で被災した英語教師であり、タイニーハウスのブロガーも新たな仲間になった。
車をピックして、最初に向かったのはDeeのタイニーハウス。そこでは、ひとつひとつのモノにストーリーがあって、どれだけ愛情深く接しているのかが窺えた。料理が得意ではないようで、キッチンは必要最低限というよりは、キャンプに限りなく近い。その代わり、料理の好きな人のところでご飯を食べるのだそう。シャワーも本を読むのも自宅以外で。所有する必要のないものは積極的に外に求めることで、寝床はシンプルに、そして街全体が彼女の暮らしを支えていた。「大きな家族の一員になった気分よ」、肩の力が抜けた自然体の言葉にタイニーハウスの世界に飛び込んできたことを実感した。
約2500km、キャンピングカーで駆け抜けた2週間。様々な人の暮らしを垣間見ることができた。僕らの出会った人たちは口を揃えて「家(タイニーハウス)ではなく、身の丈の暮らし、自分らしい生き方を求める姿勢(タイニーハウス・ムーブメント)が大切なんだ」と言う。どの人も意識的に住まいを小さくすることで、それまで埋もれていて自分でも気づかなかった個性を再発見し、それをうまく使いこなそうとしていた。また、量を求めない代わりに質を高めることで、空間がその住人のキャラクターを強く表していた。
ムーブメントのきっかけをつくったJay Shafer、山奥に家族で住むMorrisonファミリー、4つの小屋のコミュニティ、牧場の真ん中に暮らすTammyとLogan、手づくりの家で暮らす伝説的な編集者Lloyd Kahnなど。それぞれの景色がとても魅力的だった。Loganは「タイニーハウスは自分を表現する方法なんだ。身体にぴったりと合うように仕立てられたスーツのようにね」と話してくれた。誰にでも合うように大量生産されたものではなく、自分自身をしっかりと見つめ直し、それに寄り添うような暮らしのカタチがタイニーハウスの本当の姿なのかもしれない。
過去の常識や世間体すらも手放して、いまの自分自身に向き合うことで、何に支えられていて、どのような役回りを担っていくのか。彼らの「自由」は決して社会から切り離された生活をすることではなく、周りとの良い関係性をつくり出すことのようだった。身軽でいることで、常に変化する環境に対応できる柔軟性を持ち、お互いに足りないものを補い合う、自然界の仕組みに似た状態がそこにはあった。
アメリカに発つ直前、娘は小学校に入学した。その子も今は高校生になり、10年経ってもまだ同じようなことしてるんだなぁ、と懐かしく振り返ったりしています。この旅で出会った “Simply Home Community” という、アメリカ初のタイニーハウスコミュニティはスタートしたばかりで、それに衝撃を受けて「日本でもできるかも。こんな暮らしがしてみたい。」と思い、ゆっくりつくってきたのが現在の “Homemade Village” です。ようやく今年から宿泊体験ができるようになってます(あまりPRできていないので、誰も知らないかもしれないけど)。まだまだ始まったばかりのこのビレッジは、実験的なフィールドで、あと10年くらいしたら、自分の住むビレッジがつくれるかなと妄想したりしています。
映画とビレッジ、両方一遍に見れる機会です。映画の後には少しみんなでお話しできる時間がありますので、質問や雑談などちょっとお酒を飲みながタイニーハウス談義ができればいいなと思っています。ぜひお越しください。
simplife上映会 2025春
・日時:2025/4/11(金)
18:00 オープン 19:00~上映会(78min)
20:30~ tinyトーク 21:00~ バータイム 23:00 終了
・場所:Homemade Village
・住所:山梨県北杜市大泉町西井出8240-2717
・チケット:500円
【参加は事前のお申し込みをお願いします。】
お申し込みはこちら→ 「simplife上映会 申込フォーム」
上映前はビレッジ内のタイニーハウスの見学をすることができます。
ビレッジ温室内での初上映会、ショップでは軽食とドリンクの販売があります。好評であれば、時々気になる映画の上映会をしたいなと思っています。ぜひ気軽にお越しください。