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Homemade Village

【Village farm Report 2024春夏】見て、食べて、たのしめる菜園づくり

日本全体として、またもや最も暑い夏を更新した2024年。高冷地である北杜市でも35℃を超える日もあり、このさきどうなってしまうのだろう…と思う今日この頃です。気候変動を肌で感じる夏だからこそ、いまの暮らしを見つめて、エネルギーを小さく住まう方法を考えたいですね。

さて、Village farmの春夏は、Homemade Villageの今後を見据えて新たな取り組みを多くしたシーズンでした!どんなシーズンだったのか、ガーデナーのさやかさんと一緒に振り返りつつ、レポートをお届けします。

種を蒔き、光と水を管理して苗を育てる

さやかさん「今年は春から、北杜市内で『自給農園めぐみの』を営む湯本さんに月に1度来てもらい、種まきと苗づくりの基礎から教わりました。

芽が出たばかりの小さな苗は、ほんとうに赤ちゃんのような存在!太陽の光と、水、温度をきちんと管理してあげないといけないと学びました。苗のお世話は、細かく管理をしたり、ときには苗の力を信じて見守ったりと、農家さんって子育てが上手だろうなあと思います。」

芽が出てくれるか、希望と不安を抱きながらの種まき。小さな芽が出たときのうれしさは、育苗の醍醐味ですね。さやかさんの丁寧な育苗の甲斐あって、たくさんの苗が元気に育ちました。

そして苗が大きくなってきたら、次に考えるのは植え付ける場所。

さやかさん「どこに植えようかと毎年プランを考えているんですが、私はゲリラ的に植える傾向があるみたいで笑。

彩りやコンパニオンプランツも意識しつつ、ここにこれを植えたらおもしろいかなと想像しながら、植え付けをしました。Village farmは出荷が目的の畑ではないので、お客さんが”野菜の花ってこういうのなんだ、食べられるんだ!”って見て知ってもらえたらうれしいなと思っています。

この春~夏に収穫できた野菜は、かぶ、にんじん、じゃがいも、大根、モロッコインゲン、花豆、きゅうり、トマト、ナス、シソなど。

さやかさん「毎年いろいろ試行錯誤していますが、毎年課題があって。今年はなぜかズッキーニがうまくいきませんでした。

ただ、きゅうり、トマト、ナスなどの夏野菜はたくさん収穫できました。なかでもナスは、これまでで一番の味!しっかりと水をあげていたのがよかったのかわからないですが、土質が一番よいように見えました。

来年は、昨年から植えているアスパラが食べられるかなあと楽しみです。」

温室の『ヒューゲルカルチャー』、絶好調!

5月に温室につくった、ドイツ発祥のレイズドベッド『ヒューゲルカルチャー』。(詳しいつくり方レポートはこちら

ナスや芽キャベツ、トマトなどを植え付けてみたら、ぐんぐん元気に育って絶好調!外のレイズドベッドから移植しなければならなくなった苗も、ヒューゲルカルチャーで元気に育っています。

丸太や小枝を重ねているので水はけもよく、落ち葉や堆肥のおかげで微生物の動きや栄養素もばっちりのようです。恐るべし、ヒューゲルカルチャー。

さやかさん「ヒューゲルカルチャーは高さもあって、すごく作業しやすいです。キノコが生えた時期もあって、よい菌が棲みついたのかなと。次のシーズンは、このヒューゲルカルチャーに直接種まきをして、育苗してみたいと思ってます!」

つかっていくにつれて全体が落ち着き、表土の高さが数センチ沈んだ様子。今後、表土を補うためにコンポストや培養土を足すのか、どのようにメンテナンスをしていくのかも試行錯誤してみたいですね。

食卓にハーブを取り入れる楽しさを、感じてもらえるように

今年のVillage farmは、彩りのある花々の配置や、アーチがあったり高低差のある野菜が植わっていたりと立体感があって、見てまわるのが楽しいガーデンになっています。

さやかさん「ナスタチウムや千日紅を植えたり、スイスチャードを並べてみたりと、彩りを意識してみました。

昨シーズンのガーデンで種取りをしてもらったものも引き継いでいて、この地域ならではの花豆は今年も育てています。お花がかわいいですよね。

コンパニオンプランツ(一緒に植えることで虫避けなどが期待できる植物の組み合わせ)も積極的に取り入れてみて、効果は感じています。ただ、ニラはコンパニオンプランツとしてだけになってしまい、食べられる大きさにならなかったので、そこは試行錯誤ですね。」

昨年の5月に植え付けをしたスパイラルハーブガーデンは、しっかりと冬越しできたものも多く、わさわさと賑わっています。

さやかさん「ローズマリーは難しかったけれど、そのほかは冬越しできたようです。今年の冬を越すには、強めの剪定をしたほうがいいかな。

Homemade Villageに宿泊してもらえるようになったら、お客さんにはぜひハーブを楽しんでもらえたらと思っています。朝ごはんなどでタイニーハウスから一歩外にでて、ハーブを自分で摘んで食べてみてもらえたら、おもしろいかなと思って。ハーブをちょっと足すだけで、多国籍な味を楽しめますからね。

そのためにも、少し変わったハーブを育てたり、バジルソースをつくれるくらいバジルを植えてみたりしたいと思っています。」

そんなさやかさんがこの夏につくってくれたのは、「ホーリーバジルティー」。ホーリーバジルは薬効が高いと言われているハーブです。

甘い香りがふわりとする、さわやかなハーブティーでした。

秋冬シーズンに向けて

野菜やハーブを育てるのは自然相手な分、毎年毎年ちがう気候条件で試行錯誤。そのなかでも今年やってみて感じた改善点を次にいかしながら、Homemade Villageらしいスタイルを探っていきます。

さやかさん「Village farmはレイズドベッドなので、スペースに限りがあります。なので、じゃがいもや玉ねぎ、にんにくなど時間も場所も必要な野菜は不向きだと感じました。でも食卓には欠かせない野菜たちなので、どこか近くの畑で栽培をしたいなと思っています。

Village farmには、宿泊してくださるお客さんがいつでも楽しめるように、レタスやミックスリーフなどのサラダ野菜やハーブを中心に、トマトなどの季節感のある野菜を育てられたらいいなと思っています。

ヒューゲルカルチャーには、秋冬用のほうれん草の種を蒔いてみる予定。12月ごろまで白菜などの冬野菜が採れるように、準備したいなと思います!」

さやかさんが毎日手をかけ、愛情をかけて美しく育ったVillage farm。こまめな草取りや水やりのおかげで、いつ来ても生き生きとした植物たちに癒されます。

オープンハウスの際には、ぜひVillage farmの野菜やハーブたちにも触れてみてくださいね。

写真:kota

文:森野日菜子