タイニーハウスと小さな暮らしを多角的に考えてみようと始まったインタビュー企画「Homemade People」。
第1回目は、タイニーハウスを利用した小さな暮らしの研究・開発プロジェクト「HOMEMADE」の発起人であり、株式会社ツリーヘッズ代表の竹内友一さんに話を伺いました。
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こんにちは。ライターの赤錆ナナです。
タイニーハウスという言葉をご存知でしょうか。
直訳すると「小さな家」。
私がこの言葉を初めて聞いたのは、2023年2月のこと。
複数の知人から、「タイニーハウスをつくっている竹内さんがライターを探しているんだけど、興味ない?」と声をかけてもらったことが始まりでした。
タイニーハウスって何?
トレーラーハウスとはどう違うの?
竹内さんはなぜタイニーハウスをつくり始めたの?
なんだかわからないけど面白そう! と思った私はいくつもの疑問を携えて、竹内さんが運営する山梨県北杜市のHomemade Villageに向かいました。
コーヒーを淹れ出迎えてくれた竹内さん。「あはははは!」とよく笑う風のような人です。
話がひと段落したところで、敷地にあるタイニーハウスのなかに入らせてもらうと──
あれ、思ったよりも広くて快適そう! 小さな流しやコンロに、ロフトのベッドスペース。奥の収納兼ソファーには、大人が3人並んで座ることができます。
その日、竹内さんの話に何度も出てきた「タイニーハウスの文化」という言葉。
タイニーハウス=家(モノ)と思っていましたが、竹内さんにとってはどうやらもっと別の意味があるようです。
タイニーハウスとはなんなのか。竹内さんはどんな思いで、小さな暮らしの研究・開発プロジェクト「HOMEMADE」を立ち上げたのか。日をあらため、Homemade Villageでお話を聞きました。
HOMEMADEってなんだ?
赤錆:3棟のタイニーハウスに、温室、畑、コンポスト……ここはどういう場所なんでしょうか?
竹内:タイニーハウスコミュニティーの実験場で、2023年の秋にはタイニーハウスの宿泊体験施設としてオープンするよ。敷地には共有スペースのコモンハウスやコミュニティーガーデン、温室があって、いまワークショップで制作しているタイニーハウスにお客さんが泊まれる予定なんだ。
赤錆:竹内さんはなぜこの場所をつくろうと思ったのですか?
竹内:2010年に「TREEHEADS」を立ち上げて以来、ツリーハウスとかトレーラーハウスみたいな小屋をたくさんつくってきたんだけど、コロナでちょっと立ち止まる機会があって、小屋よりも「暮らし」についてもっと深く考えたいなと思ってきて。
「小さな家でしなやかに生きる」ことが現実になったらいいなと思って、2020年に、タイニーハウスを利用した小さな暮らしの研究・開発プロジェクト「HOMEMADE」を立ち上げたんだ。
赤錆:なるほど。そのHOMEMADEのプロジェクトの1つが、いま私たちがいるHomemade Villageなんですね。
竹内:そうそう。僕は自分の身の丈にあった、自分たちで手づくりできることであれば、なんでもHOMEMADEになると思っていて。コンピューターとかロケットって言われると難しいけど、僕らが暮らしで使うものは大体HOMEMADE(手づくり)できるはずなんだよね。
いまはHOMEMADEから遠い、特殊なものとして扱われている「家」も、もともとはみんな自分たちでつくっていたよね。自分の身の丈にあった“何か”をここでつくることができたら面白いと思ってるんだよね。
荷物、一回降ろしてみる?
赤錆:竹内さんは何がきっかけで「暮らし」やタイニーハウスに興味を持つようになったんですか?
竹内:ツリーハウスの製作で全国を飛び回っていた時に、自分の部屋ごと移動できたらいいなと思ったことが始まりかな。
赤錆:自分の部屋ごと移動、ですか?
竹内:うん。ツリーハウスをつくることは楽しかったんだけど、現場ごとに1カ月から3カ月くらいテントや人の家のリビング、ビジネスホテルなんかで泊まり込みの作業になるから、だんだん疲れが溜まってきちゃって。
竹内:自分の部屋ごと移動できたら、仕事が終わった後もくつろげていいなあと思って調べていた時に、アメリカではタイニーハウスで暮らしている人たちがいると知ったんだ。そして、たまたまDee Williamsのスピーチを見つけたんだよね。
赤錆: Deeが『TEDx』でタイニーハウスでの暮らしについて話している動画ですね。
竹内:そうそう。初めて観たのはたしか2014年2月だったと思うんだけど、もういてもたってもいられなくなって。調べたら、なんと翌週だか翌々週だかにアメリカのポートランドで、彼女が主催するタイニーハウスのワークショップがあるよって書いてあって。
赤錆:おお!
竹内:それですぐに飛行機のチケットを買ったんだ。Deeに、感動したし共感したって直接伝えたくなったんだよね。
赤錆:すごい行動力ですね! ワークショップに参加して、どんなことを感じましたか?
竹内:シンプルに暮らす彼女を、すごくうらやましいと思った。当時は友達が貸してくれた高尾の広い家に住んでいたんだけど、器の大きさに合わせるようにモノもどんどん増えていて……。
20代の頃ヨーロッパでデザインの勉強をしていた時はバックパック1つで暮らしていたのに、日本に帰ってきてからは、モノも、しがらみも、家族も増えて、独立して会社までつくって。いつの間にか、いろんなものを背負っていたんだよね。
Deeの話を聞いた時に、「そうなんだよ、もともと僕ら、そんなに背負わなくていいよね」って共感して。必要なものは大切にしたいけど、不必要なものも実は多いような気がして。あれ、いつの間にか背中が重たいぞっていうことに気づいて、だから衝動的にアメリカまで飛んでいっちゃったんだと思う。
彼女に出会わなかったら、もっといっぱい背負って、もっといっぱい、もっといっぱいって……。でも、足腰鍛えられたからいいやって歩いていたかもしれないね。
竹内:ポートランドのワークショップは、タイニーハウスのつくり方はもちろん、彼女の内的な部分、精神的な変化が腑に落ちた感じだった。バカーンって1発、どこが割られたのかわかんないけど衝撃があった。
赤錆:どんな衝撃だったんでしょうか?
竹内:そうだね。何かゴールが見えたっていうより、今の自分ってどうなんだっけみたいな。そう……そうね。自分に対する疑問を感じる機会だったかな。結果どうなるかってことより、ちょっと背負っている荷物並べてみる? みたいな感覚になった。
赤錆:2014年2月にDeeのワークショップに参加して、その年の10月には、今度は竹内さんがDeeを日本に呼んでワークショップを開催したんですよね?
竹内:そうそう。日本の人がタイニーハウスやDeeの言葉に触れたら、面白いことが起きるんじゃないかと思って。彼女に提案したら、もちろんって言って日本に来てくれたんだよね。
赤錆:日本でのワークショップはいかがでしたか?
竹内:タイニーハウスづくりの実技の部分は僕らが教えて、座学はDeeのほかにも、パーマカルチャー*やコミュニティー、森林、エネルギーの分野で活動している人をゲストに呼んで、それぞれ話をしてもらったよ。
赤錆:座学も充実してますね!
竹内:Deeと会ってタイニーハウスの世界に触れたこともあって、初めからモノだけつくれればいいっていう感覚ではなかったんだよね。思想の部分と実践の部分、両方あってタイニーハウスだよねって思っていたから。
*パーマカルチャー…… パーマネント(永続性)と、アグリカルチャー(農業)、カルチャー(文化)を組み合わせた造語。人と自然が共に豊かになるような関係を築いていくためのデザイン手法のこと。
その日の夜、眠れなくなった
赤錆:そこからは毎年タイニーハウスのワークショップを開いて、発信を続けていったんですか?
竹内:いや、それがそうでもなくて(笑)
赤錆:何があったんでしょう?
竹内:2014年のワークショップでつくったタイニーハウスを、その時資材を提供してくれた会社がある広島まで持っていったんだ。帰りに尾道のゲストハウスに泊まったら飲み会をしていて、若い男の子が「僕、タイニーハウス知ってます!」って声をかけてきてくれたんだよね。
赤錆:へえー!
竹内:その頃はね、ベニヤ板でつくった箱にコロコロ(タイヤ)をつければ、固定資産税も不要で、自由な人生を生きられます! みたいなライフハックが一部の人たちの間で流行っていた時期で。彼はそのベニヤの箱のことを言ってたんだよね。
僕の頭の片隅にはDeeのライフスタイルがあったから、ベニヤの箱にコロコロもDeeの家も、タイニーハウスっていうけど同じでいいんだっけって。タイニーハウスっていう文脈のなかに、全く違う景色が2つあって、これって混じるんだっけみたいな。
赤錆:うーん。
竹内:Deeの暮らし方もライフハックといえばライフハックなんだけど、何が違うんだろう。わかんないけど、モヤモヤする……。その日の夜、眠れなくなっちゃって。
ワークショップでも、参加者から「これって住めるんですか?」「本当にこんなに小さな家に住んでる人がいるんですか?」って質問があったのね。その時点では僕もDeeの暮らししか実際に知らなかったから、「いやわかんないね〜」としか答えられなくて。それも1つきっかけとしてあって、タイニーハウスってなんだろうって、ずっと考え続けちゃったんだよね。
赤錆:ベニヤの箱と小さな暮らし……。
竹内:次の日、車で広島から帰る途中、ワークショップの撮影をしてくれたベンさんっていう友達に電話して、アメリカに行かない? って。「アメリカ行ってちゃんと見て話を聞くから、ベンさん映像を撮ってくれない?」って聞いたら、「あ、いいよいいよ全然やるよ」って言ってくれて、それで映画『simplife』を撮ることになった。
赤錆:モヤモヤを解きに行こうと。
竹内:そうそう。実際に見ないとわかんないなって感じたから。ただ、見てきても自分の言葉だけではうまく伝えられないだろうと思ったから、映像を撮って、人に伝えられるようにしようと思って。
赤錆:アメリカにはいつ頃行ったんですか?
竹内:1回目のワークショップが2014年12月に終わって、その3カ月後の2015年4月だね。
赤錆:3カ月後!
竹内:そう、すぐ行っちゃうんだよね(笑)
竹内:ワークショップは2015年にもう1回開いて、そこからは『simplife』の制作で忙しくなったから一旦お休みに。
2017年に映画が完成してからは、告知や上映のためにタイニーハウスを引いて全国を回ったから、すっからかんになっちゃってね。あはははは。やばいやばい仕事せねばってことで、しばらくはTREEHEADSの仕事に集中することにしたんだ。
タイニーハウスって暮らしの話だったよね
赤錆:『simplife』をつくったことで、モヤモヤの答えは見つかったんですか?
竹内:そうだね。アメリカに行った後もいくつか段階を経て、考え方が変化したかな。
赤錆:どんな変化でしょうか?
竹内:『simplife』をつくった時は、タイニーハウスで暮らせると思っていたし、みんな住んだらいいのにと思ってた。アメリカで、タイニーハウスに暮らす人たちを見てきたからね。
だけど日本ではなかなか広がらない感じがあって。その頃は僕も4人家族になっていて、自分が暮らす家としてタイニーハウスを選択することは難しかったんだよね。タイニーハウスに住んでいない人が、タイニーハウスをおすすめしていいんだっけみたいなところもあったし、TREEHEADSの仕事が忙しかったこともあって、なかなか積極的に発信できずにいて。
赤錆:なるほど。
竹内:それでも「ワークショップをやってほしい」「自分の暮らしを自分でつくりたい」っていう声はあって、『simplife』もじわじわとだけど、いろんな人が観てくれるようになってきていて。
やりたいって言ってくれる人がいるなら再開しようって、2020年に3回目のワークショップを開いたんだよね。その頃からまた、タイニーハウスってどういうものなんだっけって周りの人とも話すようになって。映画をつくったから、今度は本をつくりたいねとか。
赤錆:HOMEMADEプロジェクトを立ち上げたのもその時期ですか?
竹内:そうそう。ここ(Homemade Village)を、タイニーハウスの宿泊体験ができるような場所にしたいっていう構想もその頃だね。
竹内:でも2020年にワークショップを始めてすぐ、新型コロナウイルスが流行し始めて、全部ストップ。ワークショップも、TREEHEADSで請け負っていた案件も一気になくなった。Homemade Villageのために土地を買って、隣に工房をつくるために大きな借金をしていたから、「あれ、これどうなんのかな」って。その時はほんと青ざめるくらい次々仕事がキャンセルになったなあ。
赤錆:うわあ……。
竹内:まあでも仕事がなくなったから、Homemade Villageの作業を急ピッチで進められたよ。
竹内:木を伐採して土地をならし、ガーデンや温室をつくりながら、やっぱりタイニーハウスって暮らしの話だったよねっていう、2014年にDeeのスピーチを観た時の気持ちにもう一度戻ることができたんだよね。
赤錆:一生懸命やってきた仕事がコロナで強制的にストップしたことで……。
竹内:そうそう。自分がやりたかったことってなんだっけってところに、戻ることができた。
もともとはタイニーハウス単体で暮らすことが僕の理想ではあったけど、小屋のなかにトイレやシャワー、キッチンをつけてインフラを整えたら、どうしても高額になってしまうし、セルフビルドのハードルも高くなってしまう。
それなら、『simplife』に出てくるアメリカのタイニーハウスコミュニティーのように、複数のタイニーハウスでインフラを共有するコミュニティーをつくれたら、日本でもタイニーハウスに住むことが現実的になるのかなって考えるようになったんだ。
4つのH
赤錆:Homemade Villageは2023年秋に宿泊施設としてオープン予定とのことですが、こうなったらいいなって何か思い描いていることはありますか?
竹内:HOMEMADEが大事にしている「4つのH」っていうのがあるんだけどね。
赤錆:4つのH?
竹内:もともとはイギリスに「シューマッハー・カレッジ」っていう学校をつくったサティシュ・クマールさんという人の考えで、HOMEMADEでもそれを少しアレンジした4つのHを指針にしていて。
竹内:Homemade Villageに宿泊するのは、<HEART>や<HAND>のところだね。共感したり、手触りをたしかめたり。そこから何が生まれるんだろうっていうことに興味がある。何かを目指しているというよりは、これとこれを足したら何がどうなるの? みたいなね。
赤錆:なるほど。訪れた人とこの場が反応してどんな変化が生まれるか。
竹内:そうそうそう。それを観察したい。TREEHEADSは僕のやりたいことをアイデアとしてどんどん取り入れているけど、HOMEMADEは僕がコントロールしすぎない方が面白くなると感じていて。この場所を好きになった人が、こんな使い方もできそうって新しいことを始めたり、ここを飛び出して全く別の場所でタイニーハウスコミュニティーをつくってみたり。いろんな広がり方があると思うんだ。
赤錆:竹内さんはそれをニヤニヤしながら……
竹内:そう!ニヤニヤしながら見守る。
赤錆:そうか。Homemade Villageは実験の場ですもんね。
竹内:うんうん。文化とかマインドって誰かが強制するものじゃないからね。誰かが旗を振ってこっちですよって先導するんじゃなくて、その場があることで、生み出され、醸し出され、発酵し、自然と育っていくものが文化だと思っていてね。
赤錆:なるほど。
竹内:TREEHEADSでは、僕らのつくるツリーハウスやタイニーハウスのことを「ひみつ基地」って言ってるんだけどね。
赤錆:ひみつ基地!
竹内:ひみつ基地って社会的な立場や役割に捉われず、自分が自分でいられる場所、ほんとにやりたいことができる場所だと思っていて。
竹内:Homemade Villageも、そんな場所であれたらいいなと思っているよ。ここに来れば自分らしい表現ができるし、やりたいことができるっていうような場所に。いますぐじゃなくてもね、ゆっくりと将来的に、できたらいいなと思う。
小さな家でしなやかに生きる
赤錆:ずっと気になっていたのですが、トレーラーハウスとタイニーハウスって何が違うんでしょう?
竹内:タイニーハウスという大きな括りがあって、そのなかでもトレーラーに搭載されたタイヤのついた小屋がトレーラーハウスだね。逆にいうと、基礎があってもなくても、トレーラーに搭載されていてもいなくても、小さな家であればタイニーハウスかな。
赤錆:なるほど。
竹内:あくまで僕の考えなんだけど、タイニーハウスにはいま言った物質的な側面のほかに、マインドも重要だと思っていて。
赤錆:タイニーハウスのマインドですか?
竹内:うん。たとえば、シンプルな暮らしをすることで、自分が本当にやりたいことにフォーカスできる。余分な荷物を一旦降ろして、自分にとって本質的な価値は何なのかを考えることができる。
もしかしたら、マインドのことをタイニーハウスと言ってしまってもいいのかもしれないとも思っていて。自分がいま住んでいる場所、たとえばそれがアパートであっても、小さな家でしなやかに生きるタイニーハウス的マインドはきっと持てるはずなんだよね。
赤錆:たしかに、大切なものだけに囲まれたシンプルな暮らしを送ることはできそうですね。自分で暮らしを手づくりすることも。
竹内:そうそう。ただ……自分にとって不要なものを削ぎ落としていくっていう意味では、断捨離も同じだと思うんだよね。タイニーハウスの物質的なハウスをどかしちゃって、マインドなんですって言うと、じゃあそれって断捨離と一緒なんじゃないのって。
赤錆:ああ、なるほど……うーん。
竹内:僕がつくった映画『simplife』に登場するタミーとローガンっていうカップルは最後、タイニーハウスから町中にあるアパートに引っ越すんだよね。でも、タイニーハウスで暮らしたことで、自分たちに本当に必要なこと、必要な関係性を見直す機会になったって言っていて。それこそタイニーハウス的マインドだと思うんだけど、でも、現状はもうタイニーハウスに住んでいるわけではない。
竹内:それに、タイニーハウスを通過していなくても、自分にとって本当に大切なことがわかっている人はきっといるよね。
いまは、「タイニーハウス的マインド」を表す何かぴったりの言葉がないか探しているところ。もしかしたら無理してわかりやすい言葉をつけなくてもいいのかもしれないけど、僕らが取り組んでいることを周りの人に伝えるためにも、何か見つけられたらいいなとは思っていて。そのためにも、ジャンルを横断していろんな分野の人に話を聞きに行きたいなあ。
赤錆:どんな化学反応が生まれるのか楽しみですね! HOMEMADEとして、これから探求していきたいことはありますか?
竹内:小さく暮らすために必要なことをデータ化して、これだったら自分もできるって勇気づけられるような資料をつくっていきたいと思っているよ。
赤錆:具体的にはどんなことでしょうか?
竹内:例えばどのくらいの畑のスペースがあれば自分を養うことができて、どのくらいのお金があれば暮らしを維持していけるのか。Homemade Villageのようなコミュニティーに暮らす人たちの生活が、どうすれば経済的に回って、自分のやりたいことにもっと多くの時間を使えるようになるのかに興味があるんだよね。
ほかにも面白い人やおすすめの本を紹介したり、エネルギーについて勉強する機会を設けたり、シンプルな暮らしのヒントになることをたくさん届けられたらいいなあ。
赤錆:2023年1月にはHOMEMADEレーベルのプロダクト第1弾、個人ユーザー向けの「タイニーハウスType-A」の販売が始まりましたね。
竹内:うん。これをきっかけにタイニーハウスを身近に感じてくれる人が増えたらうれしいな。将来的には購入した人が自分で組み立てられるようなパッケージの販売も考えているから、楽しみにしててね。
赤錆:それは楽しみです!
竹内:朝起きたら気持ちよくコーヒーを淹れられて、外に出れば緑があって、畑には食べものもある。僕らが目指しているスタイルは、自然とつながりを感じながらも、タイニーハウスは自分にとって安心できる快適な住まいでありシェルターであること。そういうブランドスピリットをHOMEMADEは表現していきたいと思っているよ。
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3時間にわたるインタビューを通して感じたのは、竹内さんを突き動かしているのは、「環境のため」「周りの人のため」よりも、もう少し柔らかくてゆるやかな思いだということ。
「あんまり『こうあるべきだ』みたいなことを人から言われたくないから、人にも言わないようにしている」と、笑う竹内さんの周りには、やっぱり穏やかな風が吹いています。
自分の心に響くかどうかを指針に、心が反応する方にまっすぐに情熱を傾け続けてきた竹内さんと、「小さな家でしなやかに生きる」ヒントを探る旅が始まります。
写真:kota @goodsense.hata
文:赤錆ナナ @nana.akasabi