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まあるい屋根をどうつくる?みんなの道しるべ、図面のこと、ビルダーさんのこと。Tiny House Workshop DAY9-10

こんにちは!Homemade編集部の日菜子です。

北杜に、短い夏がやってきました。日中はびしびしとした日差しがきついけれど、朝晩はカラッとした風が吹く、気持ちのよい夏です。
そんな8月19日、20日、Tiny House Workshop2023のDAY8-9が行われました。

Tiny House Workshopは、ひとつのタイニーハウスをみなで手を動かしながらつくるなかで、それぞれが持ち寄った問いを探求していくプログラム。8月のワークショップでは、外壁を貼る作業と、内装の天井を貼る作業を進めていきました。

今年つくっているタイニーハウスの特徴は、「まあるいアール屋根」。よく見かける三角形の屋根とは印象も違い、かわいく思えます。
しかし、この丸みをつくっていく作業は思ったよりも大変!屋根そのものをつくる過程も、外壁をつくっていく過程でも、丸みがあることで「どうやって丸くつくるか」を都度考えていく必要があります。

そこで、今回のレポートではタイニーハウスの設計図を書いてくれた、TREEHEADSの凛太朗くんに、アール屋根の図面をつくってみて感じたことや、学びを教えてもらいました。

どうして、丸いアール屋根にしたの?

●タイニーハウスの設計、そもそもどこ(大きさ?用途?予算?)から考えたのですか?
今回つくっているタイニーハウスは、今後Homemade Villageの宿泊施設として利用する予定になっています。なので、子連れの3〜4人家族を想定して考えています。その上で、どれくらいのスペースと機能が必要なのかという点から設計してます。

●どうしてアールの屋根にしたのですか?
いまのHomemade Villageには、三角の屋根のタイニーハウスがあります。なので、違った形のタイニーハウスを作りたいと思い、アール屋根にしてみました。

●設計図をつくるうえで、意識をしたことを教えてください!
TREEHEADSの過去の作品でアール屋根のものがあるので、それらを参考にしながら図面を書いています。
プロの大工さんはもちろん、初めて図面を見るような方にもわかりやすく間違えにくい図面を意識してつくりました。

丸いアール屋根の図面をつくるなかで、大変だったこと

●設計図をつくるなかで、大変だったこと、これまでの経験とは違ったことがあれば、教えてください!
ワークショップのタイニーハウスが、僕にとってはTREEHEADSで初めて図面を引いたものでした。大学で建築を学んでいた頃とは比にならないぐらい高い解像度で、それぞれのディティールを検証しなければいけないので、とても勉強になりました。

●ディティールを検証、というのはどうやってやるんですか??
3Dのモデリングソフトで完成形をイメージしたあと、2Dの図面を描いてより詳細な収まりを検証するというやり方でしています。3Dと2Dを行ったり来たりするイメージです。

ただ、図面では綺麗に収まっていたものも、例えば木の反りなどの小さな誤差でうまくいかないこともあります。図面を描くことと実際にそれを形にすることにはズレが生まれてくるとこを、身をもって体験できたことは学びになりました。

現場で生じた問題を解決していくビルダーの皆さんの思考と技術を見られるのも、いい経験になっています。

●初心者が図面を自分で書いて何かつくろうと思ったとき、どんなことに気をつけながら描くといいですか?
自分が作業するときに、図面からどんな情報が読み取れると効率的かつ間違いなく作業できるのか、ということを考えながら、図面を書くのがいいと思います。

図面が完成形ではなくて、みんなで工夫しながらつくってく

凛太朗くんのコメントにもあるように、正解は図面のなかではなく、現場にある。

実際に進めるなかで「これどうする?」「このほうがいいじゃない?」ということが生まれ、その都度ビルダーのみなさんと参加者が会話しながら、よりよい図面にしていきます。

道しるべとなる図面があって(もちろんパッと見ではぜんぜん理解できないのですが笑)、ビルダーさんに説明をしてもらい、みんなの頭のなかで思い浮かべながら作業を進める。そうやってみんなで完成形をイメージしながらつくっていくのは、なんともおもしろいです。

やってみて、壁にぶつかって、ビルダーさんやみんなで越えていく

少しづつ、図面を見たり少しの説明を受けるだけでどんな作業をするかスムーズに理解できてくる私たちでしたが、どうしても作業を進めるなかで、壁にぶつかるときがあります。そういうときビルダーさんから教えてもらうちょっとしたコツは、なるほど!とすごく腑に落ちるものです。

本間さん「丸ノコは、音が大事。切るときに変な音がしていたら、きっと曲がってるんだ。刃も、材の厚みに対して出しすぎていると切り口がきれいにならなくて、仕上げの材とかは気を付けたほうがいい。」

がんちゃん「フローリングの最後の板は、下側を斜めに切っておく。そうすれば、下の角が壁に当たって入らないということもなく、スッとはまってくれるよ。」

道具を安全にうまく使うコツも丁寧に教えてくれる本間さん、まさに職人技な細かな技術を見せてくれるがんちゃん、そして、参加者とビルダーさんの架け橋になって場を盛り上げてくれるけいしさん。

リードするだけでなく、私たちの困った顔を見てすぐにアドバイスをくれるビルダーさんたちがいるからこそ、ワークショップの学びはより深くなっていると感じています。

ワークショップの最初のほうでは、何を質問したらいいのかもわからず、言われるがままに作業をしていたこともありました。今となっては、できる範囲でみんなそれぞれが考えながら動き、わからないことを聞く、そんな雰囲気ができていることに、ちょっと感動。みなさんすごいです。

さてさて、次回の9月のワークショップが作業日としては最後。
10月のお披露目に向けて、どこまで仕上げることができるのか、楽しみです。

写真:kota
文:日菜子